「イニストラードを覆う影のMOプレリリース」の4/15まであと1週間。
《フェアリーの大群》禁止とゲートウォッチの誓い導入で、環境はどう変わってきたのでしょうか。
今回はOGW導入後のメタゲームの状況や、入賞デッキに採用されているカードを見ていきます。
OGW初期はアーティファクト土地環境
killターンを定義していたfamiliarが《フェアリーの大群》禁止で消滅し、青単フェアリーも勢力を弱めたことにより、OGW導入後しばらくは低速コントロール寄りの環境が続きます。
青系コントロールが互いに互いを対策しあうなかで、「打ち消しを潜り抜けてフィニッシャーを連打できる」親和と「打ち消しがない分、能動的にアドバンテージ確保と盤面支配ができる」ジェスカイキティ・黒単信心がメタの中心に。
赤いデッキならサイドに《ゴリラのシャーマン》3積みが欠かせない環境となっていました。
そのせいで、Pauperって安いんじゃないの?と詰め寄られると返答に困る状態に。
中期はウルザトロンvs土地破壊
familiarが消滅して青単フェアリーがTier2落ちし、親和・キティ・黒単がTier1にいる環境になったと来れば、ウルザトロンが活躍しないわけがありません。
ウルザトロンの主力《ファングレンの匪賊》による強烈なアーティファクトメタ性能と、打ち消しのないコントロールにめっぽう強いデッキ構造が刺さり、2月中旬からグイグイとその勢力を強めていきます。
OGWの新カード《ムラーサの胎動》の活躍もあり、あっという間にTier1を食い荒らす形に。
「トロンが動き出す前にブン回れば勝てる」親和や「ネズミでドローを止めて灰色商人を連打できれば勝てる」黒単はともかく、ジェスカイキティにとってウルザトロンの隆盛は致命的でした。
その後、キティ系デッキはドンドンとその勢力を弱めていくこととなります。
トロン隆盛の影響力は大きく、環境にも《広がりゆく海》・《押し寄せる砂》・《溶鉄の雨》・《地の裂け目》・《Thermokarst》といった土地破壊カードをサイドに3枚以上積んだデッキが目立つようになりました。
また、この頃から「親和とウルザトロンに有利」な赤単ゴブリンが急増。
長らくTier2に甘んじていた青単フェアリーも「タフネス1対策が薄くなったおかげで《フェアリーの悪党》で代用しただけでも十分勝てる」ことに多くのプレイヤーが気付きだしたのか、再びTier1入りするようになります。
こういった環境の変化を受け、「ゴブリン・黒単に有利で、青単フェアリー・親和に劇的に刺さるサイドカードを持つ」緑単ストンピィが少しずつ増加していきました。
やっぱりPauperは単色環境?
そして現在。
長期にわたって多色デッキがTier1を制圧していたOGW環境でしたが、終わってみると青単フェアリー・緑単ストンピィ・赤単ゴブリンという3大単色アグロがTier1を席巻。
親和・ウルザトロン・黒単信心がTier2としてそれらを追う形となっています。
KTKでコモン版隠れ家サイクル・OGWで2種類の実質アンタップイン5色地形が登場するなど、Pauperの土地基盤もかなり多色化しやすくなって来てはいるものの、まだまだPauperは「安定性とテンポ」が重要な単色環境と言うことなのでしょうか。
多色デッキからすると「どれかを対策すればどれかに弱くなる」一方で、青単フェアリー・緑単ストンピィ・赤単ゴブリン側からすれば「対策外のデッキと当たろうと綺麗に回ってしまえば勝てる・相手が少しでも事故ってしまえば勝てる」という強みが出る結果となりました。
ちなみに、このように環境がグルグル回る中で常に安定してTier2にいたのがウィーゼロックスです。
爆発的に増える事もなければ勢力を弱める事もなく、常にTier2として環境にプレッシャーをかけ続けられるのは、「警戒されると弱いが、少しでも警戒が解けると簡単に5-0出来てしまう」瞬殺コンボデッキの強みと言えます。
環境的に見ても、フェアリーとストンピィに強いですしね。
その他ピックアップ
ここからは「5-0入賞を果たした少数派のデッキ」を見ていこうと思います。
player:ItsukiS (5-0)
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まず注目したいのが赤白レベル。
序盤は赤の優秀な1マナ除去で時間を稼ぎ、4マナまで伸びたらレベルクリーチャーでリクルートを続けて盤面を制圧するデッキです。
このリストでは、トークン戦略と両立させているのが特徴。
①単体除去や布告除去を使うデッキにはトークン戦略で除去を使わせてからリクルーターを展開
②全体除去を使う相手にはリクルーターでプレッシャーをかけて除去を使わせた後でトークン展開→全体強化
と互いに補完関係にあるのが強いですね。
《エイヴンの裂け目追い》をリクルートできるおかげでフェアリー・ゴブリン・ストンピィに有利がつくデッキなだけに、今後の活躍にも期待です。
player:note10 (5-0)
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前に記事にした熟考親和も5-0入賞しています。
ウルザトロン対策となる《広がりゆく海》が、「自分の土地に張れば青マナ源を増やせてドロー呪文に繋がるから腐らない」点を活かしてメイン採用されているのが非常に勉強になりました。
アーティファクト土地に張っても「アーティファクト・島」になるので、デメリットがないのが良いですね。もちろん相手の土地に張ることも多いでしょう。
前に記事にした後も色々と試してみて個人的に強いなと感じたカードは《チス=ゴリアの鱗》と《汚れた一撃》です。
どちらも《神秘の指導》から持ってこられて、前者は《感電破》・《炎の斬りつけ》・4/4対策、後者はウルザトロン相手にライフゲインを無視して《エイトグ》で瞬殺するのに使えます。
熟考親和はかなり構築の幅が広いデッキなので、今後も色んな方のリストを見て勉強していきたいです。
player:TaZi (5-0)
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最後はスリヴァー。
長らくローグデッキとして息を潜めていましたが、致命的に苦手なfamiliarが消えた事もあり、5-0入賞が増えています。
単体除去の連打には弱いものの、逆に言えば「ほぼ全てのクリーチャーがマスト除去・マストカウンターなので、討ち漏らせば終わり」という強みのあるデッキです。
対アグロ戦を《グルマグのアンコウ》の制圧力に任せている中速デッキが増えていることもあり、今後も一定の存在感を発揮してくると思われます。
火力には《狩りの興奮》・黒の除去には《黒曜石の見習い僧》という対策カードもあるので、単体除去さえ積めばokというわけでもないのが恐ろしいデッキですね。
SOI導入後はどうなる?
SOI導入後、マッドネスはメタに食い込んでこれるのか。《スレイベンの検査官》はトップメタでも通用するのか。墓地対策必須環境になってくるのか。
今後の入賞デッキに注目です。
以上、SOI環境直前!OGW導入後のPauperのメタ遷移を見ていくでした。参考になれば幸いです。 最後まで記事を読んでいただき、ありがとうございました。ではでは(゜-゜)
青黒デルバー(アンコウ)はどういう立ち位置だったのでしょうか?
環境におきた変化を絡めて、理由付けで解説しているのがすばらしいと思います。
今後もがんばってください。
作者であるシミてくさんに紹介していただき嬉しい限りです。
スレイベンの調査官はヤバい
>>1さん
アンコウはフェアリーがtier2にいたころはほぼ同数いましたが、フェアリーがtier1に戻ったあたりから減っていました。タップインランドの分打ち消しをかまえるのがワンテンポ遅いので、早いデッキが増えると苦しいですね。
>>2さん
ありがとうございます!そう言っていただけるとすごくうれしいです。
>>ノートさん
こちらこそ、ノートさんに調整改良していただけて嬉しいです!メイン海がこんなに使いやすいとは思ってませんでした
>>4さん
早くスレイベン→空漁師の動きをしたい