4/27発売の新セット「ドミナリア」のフルスポイラーが公開されました。
Mtg初期のストーリーの中心だった次元「ドミナリア」に回帰したということで、昔のカードを彷彿とさせる面白いカードが多数収録されています。
今回は、そんなドミナリアで新たに収録されたコモンのうち、Pauper目線で気になったカードを考察していきます。
白
《治癒の恩寵》:3点ダメージ軽減と3点ライフ回復で、合計6点分のダメージを帳消しにできる1マナインスタント。
コントロールなら2マナ以上のもっと強力な回復・軽減呪文を使ったほうが良さそうですが、土地の少ないデッキなら1マナで《稲妻》2枚分の仕事をするのは優秀。
白単ウィニーや親和が赤単バーン対策を考えるときに便利な1枚です。
《セラの信奉者》:歴史的な呪文を唱えると+1/+1修整を受ける鳥。
コモンに英雄譚はありませんし、伝説のカードはリストを見るとどれも使いにくそうなものばかりなので、実質的には「アーティファクト呪文を唱えるたびに強くなる2マナ1/1飛行先制攻撃」と言えます。
基本的にはより誘発条件が広く魂絆で一気にライフレースをひっくり返せる《道の探求者》が優先されそうですが、《ミラディン人のスパイ》コンボのようにアーティファクトを無限回唱えてフィニッシュを決めるデッキでは、2マナで回避能力をもつフィニッシャーとして採用が検討できます。
《アヴナントの罠師》:アーティファクト呪文を唱えるたびに、対戦相手のクリーチャーをタップする3マナ3/2。
軽いアーティファクト呪文が多い構成なら、場に出してすぐ相手クリーチャーを複数体タップできるので、金属術系の白単に1~2枚入れておくと最後の一押しを入れるのに役立ちそうです。
《突撃》:ピッチコストがなくなった代わりに1マナで唱えられるようになった《レイモス教の再興》。
再興の「フルタップで展開しても常に《電謀》をケアできる」「《呪文づまりのスプライト》に打ち消されにくい」という強みはなくなってしまいましたが、総攻撃から全体強化を連打したいときはこちらのほうが便利。
《レイモス教の再興》は《平地》が場に出ていないと0マナで唱えられないので、ボロストークンのように《平地》があまりデッキに入っていない構成では採用しにくかったのですが、こちらなら気軽に採用できます。
本家同様、《電謀》対策+フィニッシュ手段として重宝しそうですね。
青
《秘儀での飛行》:1ドローがなくなった代わりに1マナになった《知識のカルトーシュ》。
アド損しやすくなったのは大きな欠点ですが、打ち消しを構えたい青にとっては1マナになったのも大きな利点。
最近はこの手の飛行付与エンチャントがドンドンと強くなっていますね。
《工匠の助手》:1マナ1/1飛行。アーティファクト呪文を唱えるたびに占術1。
こちらも《ミラディン人のスパイ》コンボなどのアーティファクトを無限回唱えるデッキが主戦場。
序盤のドローを安定させたうえで、無限回占術1を狙いたい。
《雲読みスフィンクス》:5マナ3/4飛行占術2。
青以外なら使われたのではと思えるほど優秀なクリーチャーです。リミテで凄そう。
ただ、パウパーの青だと《熟考漂い》の壁が厚いですね。
《巻き戻し》:1マナ重くなった代わりにフリースペルになった《否認》。
打ち消しにとって1マナ重くなったのは相当きついデメリットなので、起こしたマナを有効活用しやすいように《禁忌の錬金術》や《神秘の指導》を軸にしたコントロールデッキで採用したいです。
《巻き直し/Rewind》と比較すると、シングルシンボルになったおかげでウルザトロンでも使いやすくなったのが優秀。
《神秘の指導》から持ってきて唱える⇒ウルザランドを起こして《神秘の指導》フラッシュバックという動きが理想的です。
黒
《陰謀団の聖騎士》:日本語版では1点ダメージとありますがこれは誤植で、歴史的な呪文を唱えるたびに2点のダメージを与えます。
紙パウパーでプレイするときは英語版を使うようにしたほうがトラブルがなくて良さそうです。
参考リンク:『ドミナリア』日本語版の誤訳のお知らせとお詫び
アーティファクト呪文を10回唱えれば勝ちというデザインで、シングルシンボルなのでウルザトロンと好相性。
13マナから2体連続召喚→1マナアーティファクト5連打でワンショットキルを決めるのも面白そうですね。
《闇の取り引き》:4マナでトップ3枚から2枚を選んで手札に加えるインスタント。
使い勝手は「《骨読み》のインスタント版」という評価になりそうです。
「選ばなかった1枚は墓地に行くのでフラッシュバックとの相性が良い」「ライフルーズではなくダメージなので軽減可能」という細かい違いもあります。
コントロールではダメージを受けるデメリットがかなり重いので気軽には使えませんが、《神秘の指導》から引っ張ってこれる追加のアドバンテージ源としてはかなり高い性能を誇ります。
《悪魔的活力》:1マナ+1/+1オーラで、オーラしたクリーチャーが死亡するとそのクリーチャーを手札に戻します。
《死せざる邪悪》や《超常的耐久力》と比べると場に戻らないのが残念ですが、構える必要がないので序盤からガンガン攻めるのに向いています。
《走り回るスカージ》+《悪魔的活力》で4点クロックを狙うのがベストでしょうか。
《抜去》:《村八分》の上位互換である手札破壊。クリーチャーに加えアーティファクトも捨てさせることができます。
非常に優秀なハンデスではあるものの、《強迫》のような感覚でデッキに入れると途端に腐りやすくなる点に注意が必要。
というのも、クリーチャーやアーティファクトは引いたらすぐに場に出される傾向が強く、手札に残りにくいからです。
《強迫》は「除去・打ち消し・コンボパーツ」という手札に残りやすい面倒なカードを落としつつ前方確認できるのが強かったのですが、《抜去》にはその強みがないため、ほとんど初手での強さのみを期待して採用することになります。
逆に言えば、初手で勝負が決まりやすいデッキで使うとかなりの強さを誇るカード。
たとえば黒単ゾンビなら、親和やボロス統治者のようなデッキ相手にサイドインして、相手の初動をにぶらせた隙に勝負を決めることができます。
その場合はアーティファクト土地を落とせるのも大きなポイントですね。
《菌類感染》:たった1マナで-1/-1修整による除去と1/1トークン生成を同時に行うインスタント。
攻撃に合わせて使えば2/2まで討ち取ることができます。
黒単アグロがフェアリーを意識して採用するタイプのカードですね。
カードパワーは低いものの小回りが利くので、細かいアド差が勝敗をわけるパウパーでは使い方次第で一気に勝ちを引き寄せられる1枚。
《ネズミの群棲》:《執拗なネズミ》を彷彿とさせる能力をもつ2マナのネズミ。
「タフネスが1で固定である代わりに何枚でも積めるようになった黒版の《筋肉スリヴァー》」とも言えそうです。
どれだけ並べてもタフネスは1なので《電謀》などが弱点。《強迫》で前方確認してから展開していきたいところ。
《嵐景学院の使い魔》のようなコスト軽減カードがあると瞬く間にネズミが並んでいきます。
なんとかして2ターン目に4体並べて5×4=20点ダメージを叩き込みたい。
《要塞の聴罪司祭》:1マナ1/1威迫 or 4マナ3/3威迫。
序盤に出して《大牙の衆の忍び》の忍術で戻して、4マナ3/3威迫として出しなおす動きが理想。
《不純な捧げ物》:小型除去と大型除去を兼ね備えた優良インスタント。
「条件付きで《グルマグのアンコウ》を除去できる軽量除去」という意味では《悲劇的な過ち》と似ています。
《悲劇的な過ち》と比較すると1マナ-1/-1修整よりも2マナ-2/-2修整の方が腐りにくいのが強み。
《ボーラスの占い師》や《熟考漂い》などを軸にした青黒コンが、《グルマグのアンコウ》対策として採用することになりそうです。
「《不純な捧げ物》をケアして、あらかじめ《ボーラスの占い師》をすべて除去してからアンコウを召喚する」といった駆け引きになると面白いですね。
環境を大きく変えそうなカードは見当たりませんが、1~2マナで優秀なコモンがかなり多い印象です。
こういう構成だとリミテッドを荒らすことなくパウパー環境が確実に変わっていくので、見ていて楽しいですね。