《衝動》。
From the Vault:Twentyでも1997年を代表する1枚として収録された過去を持つ、青の代表的なライブラリー操作呪文です。
このカード、非常に強力なカードなのですが「2マナも払ったのに盤面に干渉せずアドバンテージも取らない」という欠点があります。
そのため「2マナあればもっとやりたいことがあるなー」と感じ、最近まで採用候補にも入れていませんでした。
ウィーゼロックスや親和のように打ち消しを構えることが少ないデッキならインスタントであるメリットも薄いし、手札交換が出来る《先読み》やアドが取れる可能性のある《危険な研究》の方がいいじゃないか、と。
しかし、数ヶ月ほど前から《衝動》を1枚挿ししたウィーゼロックスを見かけるようになり、自分でも回してみると目から鱗。
直接的にはアドバンテージは取らないものの、「状況に応じた強いカードが大幅に手に入りやすくなる」ことが単純な1枚分のカードアドバンテージ以上に「安定」した勝利に貢献してくれています。
さて、「安定」が欲しいと感じる事の多いPauperのデッキといえば、親和。
親和はデッキパワーは非常に高いものの、状況に応じて土地とスペルをうまく引かないと回らない、少々不安定なデッキです。
そこで今回は、親和に《危険な研究》ではなく《衝動》を入れるメリットを考えます。
危険な研究は、回り出してから強いドロー
《定業》や《海門の神官》を始め、ドロー操作呪文が強い理由の1つに「序盤の立ち上がりをサポートする」というのがあります。
親和においては《物読み》がこれにあたり、アーティファクト土地2枚と《予言のプリズム》でもあれば気軽に使えて、序盤の土地ドロー・クリーチャー確保の安定化を支援してくれています。
一方、《危険な研究》は《胆液の水源》があれば一気に大量ドローをしてデッキの回転速度を上げてくれるものの、「パーマネントを1つ生け贄に捧げる」効果が序盤では重く、「序盤の立ち上がりをサポートする」役割はほぼありません。
《衝動》なら、上図の状況では土地を探しにいくことで、その後の《マイアの処罰者》連打をサポートできます。
一方、手札の《衝動》が《危険な研究》だったらどうでしょう?
いま盤面にあるパーマネントはどれも生け贄にはしがたい状況。《マイアの処罰者》が暴れるのは相当先のこととなるのではないでしょうか。
このように、《危険な研究》は「すでに回り出しているときにだけ強い2マナドロー」という特殊な性質を抱えています。
そもそも親和は「上手く回らないこともあるけれど、回ればとんでもなく強すぎる」デッキ。
そこに《危険な研究》という「回り出しているときにだけ強いドロー」を入れるべきなのかは、疑問が残ります。
間接的にアドバンテージを取れている
また、「《衝動》はアドバンテージに貢献しない」というのも一概には言い切れません。
ウィーゼロックスや親和には《噴出》・《物読み》という低コストぶっ壊れドローが採用されています。
しかし、《噴出》はそのコストの関係上おおくて3枚、《物読み》は枚数制限により4枚までしかデッキに入れる事ができず、1試合に打てる回数はそう多くはありません。
裏を返せば、《衝動》によってライブラリーを掘り進めるということは、こういった低コストぶっ壊れドローに早くたどり着く分、間接的にアドバンテージを取っていることにもなります。
事実、ウィーゼロックスは《衝動》を1枚採用した事により《噴出》へとつなげやすくなり、アドバンテージ勝負でも負けにくくなってきています。
・アドバンテージを取れることもあるが、2枚しか掘れない《危険な研究》
・それ自体でアドバンテージを取れることはないが、4枚も掘れる《衝動》
アドバンテージ面においても、一長一短な感があります。
2枚の土地より1枚の4/4
皆さんは親和を回している時、「危険な研究+彩色の星で3枚引いたけど、金属ガエルと土地2枚じゃねえか!」となった経験はありませんか?
親和では、いくらアドバンテージを取ったと言っても「それのほとんどが土地で、手札に土地があふれかえる」ケースは珍しくありません。
たくさんの土地が並ぶ恩恵の多いデッキでもないですし、どうせ1ターンには1枚しか土地を出せない事も考えると、中盤以降は2枚の土地より1枚の4/4の方がよっぽど重要です。
そういう意味では、デッキの奥に眠る4/4を探しに行ける《衝動》の方が、実質的なアドバンテージに繋がることも多いのではないでしょうか。
《危険な研究》だと場のアーティファクトの数が減るせいで
①《危険な研究》→《危険な研究》→《マイアの処罰者》とつながるケース
②《衝動》→《衝動》→《マイアの処罰者》とつながるケース
では、②の方が圧倒的に多いことも、軽視できないポイントです。
親和も結局コンボデッキ
色んなデッキと戦っていると、なんだかんだ言って親和の強みは《エイトグ》+《投げ飛ばし》なんだなー、と感じます。
ウィーゼロックスほど特化されている訳ではありませんが、結局のところ親和も「4/4で圧力をかけて相手に隙を作らせて、エイトグ投げ飛ばしを決めるコンボデッキ」なのではないかと。
そういう意味でも、ライブラリーを掘れる枚数が《危険な研究》の2倍ある《衝動》のほうが勝利貢献度が高いように感じます。
《危険な研究》でアーティファクトを生贄にすると、エイトグ+投げ飛ばしの射程が2点減るのも地味に痛いですし。
地味な恩恵
また、《衝動》には相手の《騒がしいネズミ》でトップに土地を置かされた時に、エンドorアップキープに唱える事で無駄ドローをはじくこともできます。
同系戦では、2ターン目に《衝動》を唱えてサイドから積んだ《ゴリラのシャーマン》を探し、3ターン目に使って勝利確定!なんてこともあるでしょう。
このように、相手からのドロー妨害対策やサイドボードの恩恵upなど、地味な恩恵も多いのが《衝動》の強みです。
まとめ
①《衝動》は立ち上がりをサポートする役割もあり、「上手く回らないこともあるけれど、回ればとんでもなく強すぎる」親和と噛み合っている
②ぶっ壊れドロー《物読み》の存在を考えると、《衝動》も間接的にアドバンテージに貢献している
③中盤以降は2枚の土地より1枚の4/4の方が強いので、4/4を探しに行きやすい《衝動》の方が盤面を有利にする可能性も
④親和も結局コンボデッキと考えると、コンボ支援効果が高い《衝動》の方が良い
⑤ネズミ対策やサイドボードの恩恵upなど、地味な恩恵もある
戦乱のゼンディカー導入後はバンクーバーマリガンによって、1マリガン時の安定性が一気に向上することが予想される親和。
これを機に《衝動》を使った安定した親和を試してみるのはいかがでしょうか?
以上、親和に衝動はアリか?ナシか?でした。参考になれば幸いです。 最後まで記事を読んでいただき、ありがとうございました。ではでは(゜-゜)
インスタントタイミングで動く必要がないのであれば、より軽く十分な効果のある《思案》や《定業》の方が良いと思うのですが…
親和の性質上、ドロー呪文を打った同じターンに展開が出来るかどうかは今後の展開速度やキルターンにも大きく関わってきます。
ウィーゼロックスでの採用も《思案》《定業》の二種類八枚に加えてのものでしたし、それらより《衝動》を優先すべきかと言うと個人的には疑問が残ります。
おっしゃる通り、2マナと1マナの差は絶大で定業・思案の方が序盤のテンポ面でかなり有利ですね
ただ、親和で序盤に定業を打つ事は青マナが多いウィーゼロほど多くなくて、定業も衝動も親和では「時々序盤に土地のために唱える事もある、中盤用のカード」という感覚で回しています
・定業→序盤最強、中盤以降は2~3枚掘る
・衝動→序盤も優秀、中盤以降は4枚掘りつつその中で一番強いカードが手に入る
・危険な研究→序盤最弱、中盤以降は2枚掘りつつアドバンテージ
テンポ最優先なら定業、エイトグ投げ飛ばしの最大化を考えるなら衝動、アドを考えるなら危険な研究って感じでしょうか
返信ありがとうございます。
本文中に一切比較が書いてなかったので気になって聞いてみたのですが…撃ちづらい序盤の滑り出しの強化よりも、中盤以降の掘り性能を重視した採用なんですね。
本文と親和に対する理解が足りていませんでした。申し訳ありません。
《思案》《定業》を入れた親和デッキでデイリーイベント出てみてはどうでしょうか?
別に衝動でも思案でも良いんで低コストライブラリ操作カードが序盤から打てる親和がどれくらいの勝率なのか気になったので可能であればお願いします。