早いもので、2015年も残すところあと1ヶ月となりました。
そろそろ、今年を振り返る記事を書いていこうと思います。
今年も昨年につづき、「今年新たに使えるようになった、Pauper環境を変えたと感じるコモン」ランキング。
前回同様、実際のメタに食い込んだランキングだと見慣れたカード=上位ランクになってしまうことから、「Pauperの構築領域をどれだけ増やしたか」という視点で見ていきます。
参考リンク:2014年を変えたコモン:Best10
対象セット:運命再編・タルキール龍紀伝・テンペストリマスタード・モダンマスターズ2015年版・マジックオリジン・戦乱のゼンディカー
第10位:アンデッドの召使い
黒のコモンでは珍しい、クリーチャーを大量に並べるゾンビ。
最高で4マナ3/2+2/2×3=9/8相当と、高いコストパフォーマンスを誇ります。
ただ、今のところ墓地に同名カードを貯めたうえで場に出すのが難しいのか、このカードを活かした戦法は見受けられません。
それでも、墓地にあることが強みになるクリーチャーはコモンとしては珍しく、今後の活躍に期待という意味での第10位。
第9位:青の果敢クリーチャー
クリーチャーでない呪文を唱えると強化される青の2マナクリーチャー2種。
低コストの非生物呪文が強いPauperでは、どちらも青の2マナクリーチャーとは思えないパワーの高さを発揮してくれます。
修整値が低めなのでウィーゼロックスのような戦法とは噛み合いませんが、アーティファクトやエンチャントでも強化される・青単でも組めるという独自の強みがあり、構築の幅を広げてくれています。
参考リンク:神出鬼没の呪拳士ストームを作ってみた
また、この2枚そのもの以上にマジックオリジンから果敢が常磐木能力の仲間入りをした事こそが今後の環境に影響を与えそうです。
リミテッドやスタンダードはPauperほど低コストの非生物呪文が強くないため、果敢もちのコモンも強めに設定されやすいという特徴があります。
たとえば、1マナ1/1果敢はリミテッドでもパッとしなさそうな弱めのカードですが、Pauperでは十分活躍の余地があるカードになります。
今後、どんな果敢クリーチャーが出てくるのか、期待が高まります。
第8位:魔道士輪の暴漢/伝染性渇血症
マジック・オリジンで登場した、コモン初の「2マナ2/2果敢」と「オーラ先が死亡してもアド損しない赤のオーラ」。
どちらも英雄的デッキと相性がよく、赤いデッキの構築の幅を広げてくれています。
参考リンク:マジック・オリジンのコモンはどのくらい活躍しているのか?
赤単の課題としては、《モグの戦争司令官》以外に除去耐性持ちが少ないことでしょうか。
最近はジェスカイキティや青黒コンのように「アドバンテージを取るカードと1マナ除去が多いデッキ」が勢力を強めているので、「2マナで出したカードを1マナで除去されて、テンポ損させられた隙にアドバンテージを取られる」という試合展開になりやすいのが懸念材料です。
赤単でも使える優秀な除去耐性持ちや、《アクロスの十字軍》と抜群の相性を発揮する呪文が出てくれば、これらも今まで以上の活躍を見せてくれるでしょう。
第7位:上陸持ちの軽量クリーチャー
戦乱のゼンディカーで登場した上陸持ちの軽量クリーチャー、《マキンディの滑り駆け》・《噛み付きナーリッド》・《ヴァラクートの捕食者》の3種。
今までの上陸デッキでは、上陸持ちの優秀な軽量クリーチャーの枚数が足りず、せっかく大量に上陸させられても中々上手く攻め切ることができませんでした。
しかし、これら2種類が加わったことで、デッキ内の優秀な上陸持ちカードの枚数を20枚以上にすることが可能に。《進化する未開地》・《輪作》を絡める事で、パワー10を超える重たい一撃を加えられるデッキが成立しました。
参考リンク:3ターン目にパワー10が2体アタック!!ナヤ上陸がかなり速い
特に《マキンディの滑り駆け》のトランプルは、このデッキの「チャンプブロックに弱い」という弱点を埋めてくれています。
やっぱトランプルって強い。
第6位:空への斉射
第6位は、1マナで最高3体の1/1飛行を除去できる《空への斉射》。
1マナで飛行限定3点火力の《葉の矢》ですらストンピィのサイドボードでちょくちょく見かけていただけに、このカードのテキストには驚かされました。
現在は、主に呪禁オーラやシミックフリッカーのサイドボードでよく見かけるカードです。
参考リンク:空への斉射を得たシミックフリッカーがPauperDE4-0
Pauperでは青単フェアリーというデッキの完成度が非常に高く、1枚の対策カードでは対処しきれないため、「フェアリーに勝とうとする時点である程度デッキの幅が狭まっていた」という問題点がありました。
しかし、《空への斉射》は1枚で複数のフェアリーやデルバーを撃ち落とし、《呪文づまりのスプライト》による打ち消しを無力化できるので、このカードが1枚あるだけで緑のコンボデッキのコンボ成功率が飛躍的に上がりました。
「このデッキ、フェアリーに弱いから解体だな…」と消えていったデッキにチャンスを与えたという意味で、Pauperの構築領域を大きく広げた1枚。
第5位:ボトルのノーム
単色時代のテンペスト期を支えた、無色の優良ブロッカー。
テンペスト・リマスタードにおいてコモン落ちし、Pauperでも使えるようになりました。
「タフネス3という硬い壁でありながら、生け贄に捧げれば3点のライフを回復できる」という性能は、低マナ域に使いやすいライフ回復呪文が少ない青・黒・赤にとって非常にありがたい存在です。
主に、バーンを苦手とする黒単信心でサイドに積まれることが多く、《ケルドの匪賊》を止めつつ《溶岩の撃ち込み》1枚分のライフを回復し、《アスフォデルの灰色商人》着地までの時間を稼いでいます。
無色のおかげでどんなデッキでも積みやすく、中低速デッキにおいて序盤の時間稼ぎを担当してくれる1枚。
第4位:はらわた撃ち
ライフを2点払えば、どんなデッキでも0マナで唱えられる1点火力。
モダンマスターズ2015でコモン落ちし、Pauperでも使えるようになりました。
《空への斉射》同様、主に青単フェアリーへの対策としてサイドに積まれることの多いカードです。
依然として青単フェアリーは入賞数の多いデッキではあるものの、これらの登場により、青単フェアリーもfamiliarと同じく「デッキの底力は高いが、強い人でないと勝てないデッキ」になっている印象です。
第3位:亡骸のぬかるみ
戦乱のゼンディカーで登場した、場に出しただけで墓地のクリーチャーカードを1枚ライブラリートップに回収できる土地。
マルドゥカラーのボロスキティなど、黒が絡んだ多色デッキで良く見かけるカードです。
特に、《コーの空漁師》との相性の良さは絶妙と言えます。
ただ、予想に反して、黒単信心ではそこまで使われていないようです。
「強いクリーチャーを引けていない時に弱いから、確実にライブラリーを掘り進められるサイクリングランドの方が安定して強い」と判断されているのだと考えられます。
いずれにしても、コモンの土地が「タダで墓地からクリーチャーを回収できる」のは異例中の異例。
黒以外のデッキでも使えるわけですし、このカードが環境の構築領域に与えた影響は計り知れません。
第2位:ティムールの激闘
第2位は、《ティムールの激闘》。
二段攻撃を与える呪文は、回避能力がないと使いにくい。
トランプルを与える呪文は、パワーがないと使いにくい。
そんな二つの能力を1枚に詰め込むことにより、突破力と爆発力が1枚で完結した高性能インスタントになった呪文です。
初めは《突撃のストロボ》より1マナ重いことが速度を殺すせいで、そのままウィーゼロックスに取り入れるのは簡単ではないと思っていましたが、そんなことはありませんでした。
ややコントロール寄りに環境が動いている事も後押しとなり、《窯の悪鬼》と《ティムールの激闘》の2枚さえ揃えれば後はドロー呪文と除去対策だけでOKという使いやすさから、《突撃のストロボ》型のウィーゼロを一気に飲み込む形で激闘型のウィーゼロックスを作り出しました。
ウィーゼロックスに限らず、1枚で突破力と爆発力が完結していることが赤いデッキ全般に受け、赤単英雄的や上陸デッキでも活躍しています。
やっぱトランプルって強い。(二段攻撃
第1位:グルマグのアンコウ
栄えある2015年のコモン第1位は、文句なしでこれ。
墓地にカードが6枚あれば1マナで出せる5/5ゾンビ、《グルマグのアンコウ》です。
タフネス5だから《炎の斬りつけ》が効かず
ゾンビなので《夜の犠牲》も効かず
黒いおかげで《恐ろしい死》も効かず
4回殴れば人が死ぬ
そんな強力なクリーチャーを1マナで出せるなんて、強いに決まっています。
Pauperなら墓地も肥やしやすく、《思考掃き》・《留意》を青いキャントリップ付き暗黒の儀式に変えた青黒アンコウを成立させました。
また「墓地を6枚貯める」のはそこまで特化せずとも使いやすく、黒単信心や黒が絡んだ多くのデッキで2~3枚採用されています。
青黒コントロールが最近活躍しているのも、このカードの恩恵によるところが大きいでしょう。
参考リンク:朽ちゆくヒルとグルマグのアンコウで攻める緑黒陰鬱デッキがPauperDE4-0
参考リンク:あなたなら何をピン挿しする?青黒神秘の指導コントロール考察
今では禁止となってしまった《宝船の巡航》と比べると「《未達への旅》・《鎖の呪い》などで1:1交換が取りやすい」一方、「パワー5という高いパンチ力により序盤に唱えるメリットが大きい」事から、かなり良調整のカードだと思います。
参考リンク:アンコウ3分クッキング
黒の速攻デッキや墓地を肥やす手段の価値を高めた、メタゲームへの影響・構築領域への影響ともに1位のカードと言えます。
あなたの2015年Best10は?
いかがだったでしょうか。
こうしてみると、やはり運命再編の2枚(激闘・アンコウ)が異彩を放っていますね。
この2枚は既存のデッキのみならず、様々な形でこれからもお目にかかることの多いカードだと思います。
皆さんのコモンBest10はどんな感じでしょうか。よかったら聞かせていただけると嬉しいです。
来年も面白い・強力なコモンに期待!
以上、2015年を変えたコモン:Best10でした。参考になれば幸いです。 最後まで記事を読んでいただき、ありがとうございました。ではでは(゜-゜)
1位はやはりアンコウですね。
コモンに望み得るスペックで最高の探査クリーチャーが出たと、スポイラー発表当時歓喜したのを覚えています。
私は1位、2位にちなんで運命再編からゴブリンの踵裂きですね、今でもスタンでお世話になってます。