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熱錬金術師入り赤単バーン考察。カード選択とプレイングの変化について

異界月導入後、Pauperでも群をぬいて活躍している《熱錬金術師》

 

すでに、このカードをメインに4枚入れた赤単バーンがPauperリーグ5-0入賞の常連になりつつあります。

alchemists

①「ブロックに回りながらダメージを与えられる」攻守一体の性能

②赤単バーンでは「生き残ればほぼ毎ターン3点前後のダメージが確定する」安定感と爆発力の高さ

《赤の防御円》を乗り越えてダメージを与えられる粘り強さ

の3点が優秀なクリーチャーです。

 

今回は、この《熱錬金術師》4枚を入れたPauper赤単バーンの調整とプレイングについて考えていきます。

 

player:GLNemesis (5-0)


2:《忘れられた洞窟/Forgotten Cave》
16:《山/Mountain》
-Lands(18)-


4:《稲妻の連鎖/Chain Lightning》
4:《溶岩の撃ち込み/Lava Spike》
4:《稲妻/Lightning Bolt》
4:《針落とし/Needle Drop》
4:《貫かれた心臓の呪い/Curse of the Pierced Heart》
2:《火炎の裂け目/Flame Rift》
4:《焼尽の猛火/Searing Blaze》
4:《裂け目の稲妻/Rift Bolt》
4:《火炎破/Fireblast》
-Other Spells(34)-


4:《ケルドの匪賊/Keldon Marauders》
4:《熱錬金術師/Thermo-Alchemist》
-Creatures(8)-


3:《電謀/Electrickery》
2:《紅蓮破/Pyroblast》
2:《鋭い痛み/Flaring Pain》
4:《粉々/Smash to Smithereens》
4:《溶鉄の雨/Molten Rain》
-Sideboard(15)-

thermo-burn

除去されるリスクはあるが、除去されなければ大ダメージ

《熱錬金術師》最大の強みは、何といってもその爆発力の高さ。

打点こそ《窯の悪鬼》に劣りますが、ブロッカーを除去する必要がなく、1ターン生き残りさえすればほぼ確実に3~4点のダメージを与えられるため、除去されるリスクを考慮しても3枚以上は入れたいカードです。

 

苦手だった青単フェアリー白単との勝率は、このカードの枚数が大きく左右するといっても過言ではありません。

 

 

除去コン相手には捨てカードになりがちなのでサイド後は全抜きしますが、「ターンが帰って来れば100%仕事をする」クリーチャーであるため、相手は次のターン除去を唱えるしかない=行動制約カードとして活躍させられるのが救い。

 

除去コンとのメイン戦では、たとえマナが余っていても行動制約効果が薄いターンはあえて手札に温存し、行動制約として効果的なターンに召喚することで《貫かれた心臓の呪い》《ケルドの匪賊》を動きやすくするプレイングを心がけたいところです。

パーマネントカードの選択

burnclocks

パーマネントがあるとデッキの動きの幅が広がり、特に青単フェアリー戦で戦いやすくなります。

《熱錬金術師》の力を最大限に発揮しようと考えると枚数をおさえたいだけに、慎重に吟味したいですね。

 

《ゴブリンの投火師》:1ターン目に出せる小型《熱錬金術師》。除去には弱いものの、1マナで出せる安定クロックなので青単フェアリー戦で活躍します。対アグロでもチャンプブロック→タップでダメージという動きが地味に偉い

 

《傲慢な新生子》:《ゴブリンの投火師》と比べるとクロックの信頼性はやや落ちるものの、引きすぎた《火炎破》や土地・腐った《焼尽の猛火》を1ドローに変えられるので、投火師よりキルターンを1ターン早められるのが強み

「2点ほどライフを削ってから《エイトグ》の攻撃を1回止めつつ手札交換」といったように、細かいところに手が届く便利なカードです。感触としては「1枚ならいつ引いてもすごく便利だけど2枚以上引くと負けることが多い」といった感じ

 

《ケルドの匪賊》:歩く火力。対ストンピィ戦や対ゴブリン戦では殴らず棒立ちしていた方が強いことが多いです。2ターン布告よけとして場に残る2点火力と考えても優秀で、《熱錬金術師》が生き残りやすくなります。同系戦でも大活躍する確定パーツ

 

《貫かれた心臓の呪い》:クロックは遅いものの、除去されにくい安定クロック。同系戦はこれを張った後で消耗戦に持ち込めるかが鍵。青単フェアリー戦や青黒コントロール戦でも重宝します

 

《灰の殉教者》:サイドボードの定番要員。ストンピィゴブリンエルフあたりに有効なほか、青単フェアリー戦でも1ターン目に出せるクロックであり、変身前のデルバーや《深き刻の忍者》への除去として機能するので、他に入れるカードがないならサイドインするのもあり

 

《疾走する戦暴者》:疾駆4マナの5/4。サイドボードに1枚入れているリストが複数回5-0入賞されています。バーン同系戦ではお互いに防御手段が3点火力なので、繰り返し使える4マナ5点火力として機能しやすいです

 

《ゴブリンの踵裂き》:疾駆3マナの3/2+ブロック制限。こちらもサイドボードに1枚入れているリストが5-0入賞されています。《疾走する戦暴者》と比べると《稲妻》で除去される代わりに1マナ軽く、《ケルドの匪賊》の攻撃を通すのにも便利

 

火力の選択

dealss

《針落とし》:従来は「トップ勝負で引くと腐りやすい」「相手残りライフ3点というところで1ドローで土地を引いて負けるリスクを考えたら素直に3点火力にした方が安定する」といった考えから抜ける事も少なくありませんでしたが、《熱錬金術師》との相性の良さから再評価されています

《熱錬金術師》がいればリソース消費無しに2点ダメージを入れられるのが強く、親和ウィーゼロックス戦では3点火力と組んでタフネス4を焼くのにも重宝します

 

《裂け目の稲妻》:4枚から減らす候補1。1ターン目に待機できれば、相手の行動を見た後で2ターン目のアクションを1回分多くとれたり、山が1枚しかなくても《針落とし》が使えたりと、初手にあると心強い

また、点数で見たマナコストが大きな1マナ火力なので、《呪文づまりのスプライト》に強いのも評価できます

一方、終盤では3マナ or 待機1がワンテンポ遅く、《針落とし》が遅れたり、打ち消しを合わせられやすかったり、《熱錬金術師》の恩恵を受けにくかったりと熱錬金術師型のバーンでは噛み合わないことも多いです

 

《溶岩の撃ち込み》:4枚から減らす候補2。《裂け目の稲妻》は「次のターンで負けるから、このターン中に焼き切る必要がある」という盤面で弱いため早め早めに待機させておく必要がありますが、こちらはラストターンで強いおかげで「唱えるのを後回しにしやすい」のが偉い

「いますぐ《針落とし》を使いたい!」という場合や「《対抗呪文》や《赤の防御円》を使う相手がフルタップしたタイミング」でもこちらの方が重宝します

逆に、《裂け目の稲妻》と違ってどう頑張ってもクリーチャー除去には回せないので、青単フェアリー戦でこれを何枚も引くと一気に不利になるのが課題

 

《火葬》:《熱錬金術師》の登場により「すぐに打てて、クリーチャーにも打てるインスタント火力」の需要が上がったので、上に挙げた2つの火力より優先して採用されることも増えてきそうです

 

《よろめきショック》:1:2交換取れる可能性もあるうえ、《熱錬金術師》との相性も抜群の重量火力。ただし、3マナという重さと反復までのラグがやや気になる呪文です

「3枚目の山を置かないと唱えられない」ので、《焼尽の猛火》との兼ね合いが難しい

 

各アーキタイプとの戦い方

ここからは、主要なアーキタイプとの戦い方について考えていきます。

今回は、フェアリー・ストンピィ・ゴブリン・同系戦について書いていきます。

青単フェアリー戦の方針

spellstuttercounter

活躍するカード:《熱錬金術師》・《貫かれた心臓の呪い》・インスタント火力

 

基本的に「いかにして《熱錬金術師》や《貫かれた心臓の呪い》を通すか」を考えながらの戦いとなります。

 

①呪文を打ち消しにきた《呪文づまりのスプライト》をインスタント火力で焼くことにより、「フェアリーの数 < 点数で見たマナコスト」にし、対象不適正による立ち消えを狙う

②あいてのターンにインスタント火力を唱えて打ち消しを釣り、返しに《熱錬金術師》・《貫かれた心臓の呪い》を通す

など、パーマネントとインスタント火力の選択が非常に重要になってくる相手です。

 

 

バーンを組む時は、フェアリーとのサイド後の60枚を考えたうえでデッキを構築したいところ。

 

具体的には、《溶岩の撃ち込み》や《ケルドの匪賊》といった相手のライフを数点削る以外の仕事がないカードを可能な限りサイドアウトして、《火炎破》を除く「インスタントタイミングで《呪文づまりのスプライト》を処理できるカード」が15枚以上になるように組むと大分戦いやすいです。

(例:稲妻4、焼尽の猛火4、火葬2、紅蓮破4、電謀2)

ストンピィ・ゴブリン戦の方針

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活躍するカード:《熱錬金術師》・《焼尽の猛火》・《ケルドの匪賊》・《灰の殉教者》

 

《焼尽の猛火》・《ケルドの匪賊》で相手のクロックを減らしながらライフを削り、隙を見て《熱錬金術師》・《貫かれた心臓の呪い》を展開し、ライフを攻めていきます。

 

「1ターンくらいなら良いか」と油断して除去よりも《熱錬金術師》や《貫かれた心臓の呪い》を優先してしまうと、《怨恨》《ゴブリンの奇襲隊》から一気に不利になることもあるので、除去とクロック展開の選択は慎重に。

 

また、《熱錬金術師》をブロックに回すのは、その召喚酔いが解けた後にしたほうが無難です。

召喚酔いが解けた後なら3点ダメージは入れられるので、たとえ《地うねり》で突破されたとしても、「2マナで相手に3点ダメージ+6点回復」と考えれば十分。

 

これらのデッキには《電謀》が刺さらない盤面も多いので、ストンピィなら《リバー・ボア》《大霊堂のスカージ》、ゴブリンなら《鋳造所通りの住人》《ゴブリンの付け火屋》といった「アーキタイプの確定パーツではないタフネス1」を複数枚見かけたらサイドインするくらいにとどめた方が良いと思います。

 

サイド後は《灰の殉教者》で盤面をキレイにした上で《熱錬金術師》・《貫かれた心臓の呪い》でライフを削り、3点火力連打でトドメ、という流れが鉄板ですね。

同系戦の方針

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活躍するカード:《ケルドの匪賊》・《焼尽の猛火》・《貫かれた心臓の呪い》・《疾走する戦暴者》

 

同系戦は、「《ケルドの匪賊》と《焼尽の猛火》上陸の駆け引き」と「消耗戦に持ち込むべきかの判断」が重要です。

 

《熱錬金術師》は生き残れば勝ちと言えるほど強いですが、基本的には焼かれるのが仕事。《焼尽の猛火》上陸さえなければ3点火力を使わせて消耗戦に持ち込めるのが大きいです。出すタイミングが重要になってきますね。

 

《焼尽の猛火》は《ケルドの匪賊》・《熱錬金術師》に強い一方で、上陸できないリスクもあります。「相手は次のターン上陸できそうか」「自分は次のターン上陸できるか」には常に気を払ったほうが良いでしょう。

 

多くの場合、《貫かれた心臓の呪い》を先に張れた方が有利ですが、《疾走する戦暴者》がいるとそれ1枚で一気に巻き返せることも。

調整がより重要なデッキに

今までのPauperのバーンは「とにかく本体に3点火力を連打する」のが強いデッキでしたが、《熱錬金術師》という強力なクロック源が登場したことで「相手のクリーチャーを除去しつつ本体を焼く」プランの重要性がかなり上がっています。

 

特に同系戦で考えることがかなり増えた印象。

 

絶望的に苦手だった青単フェアリーとの相性が大きく改善された赤単バーン。今後、メタの変化にあわせてどんな構成に仕上がっていくのかに注目です。

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